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ランドリー・ビジネスは今夏もアツい。新たにブルックリンに誕生したのは「18禁コインランドリー」だって?

Jul 15,2016

ニューヨークのユニークなコミュニティの溜まり場といえば、「コインランドリー」だ。
高級コンドミニアムやマンションは別として、自宅に洗濯機がないので週に一度ご近所さんがわっとコインランドリーに集まる。
でも、洗濯機がうねりをあげグルグルと回っているあいだって、結構退屈。そんなみんなの“待ち時間”を活用し、「ランドリー×カフェ」などランドリー×◯◯ビジネスが次々に産み出されているのだ。かくして昨今のコインランドリーは、一種の”期待の”コミュニティスペースとして存在している。

そしてこの度新たに生まれたのは「18禁のコインランドリー」、だって?

(Photo by 撮影者)

18禁ランドリーの謎

「18禁ランドリーがブルックリン・ブシュウィックに誕生」との情報をキャッチ。
 そりゃ行ってみるしかない、とある平日の夕方、某ランドリーを訪れた。

 入り口付近に建てられたこのお部屋。「アダルトコンテンツを含むため、18歳以上のみ入場可能」との張り紙。なんだなんだ、とっても怪しいではないか…。

(Photo by 撮影者)

(Photo by 撮影者)

 実はここ、フェミニズムジンと大人のおもちゃを売るショップ「Troll Hole(トロール・ホール)」。今年4月にコインランドリー内の片隅にオープンした、わずか2畳ほどの小さな小さなお店だ。
 なるほど18禁ランドリーの正体は、店内の一角にあるこのショップのことだったのね。

(Photo by 撮影者)

 それにしてもフェミニズムジンストアとアダルトショップ?そもそもなんでランドリーにあるの?…と謎も尽きないので、本職の合間を縫ってまで運営に力を注ぐオーナーのHayley Blatte(ヘイリー・ブラット)、Justin Shock(ジャスティン・ショック)そしてMonica Yi(モニカ・イー)の3人に話を聞いてみた。

HEAPS(以下、H):おじゃまします!さっそくですが自己紹介を。

Justin(以下、J):日本の皆さん、はじめまして。トロールホールの紅一点(笑)こと、ジャスティンだよ。本業はビンテージ服ショップ店員。

Monica(以下、M):私はモニカ。フリーランスのグラフィックデザイナー兼アートディレクターをしているわ。

Hayley(以下、Ha):ハーイ。ヘイリーよ。アーティストそしてイラストレーターとしての傍ら、ファッション業界で働いているの。

(Photo by 撮影者)左から、モニカ、ヘイリー、ジャスティン

H:みなさんファッションやアート業界人なんですね。3人の出会いは?

Ha:カルフォルニアにあるアートスクールでモニカに出会ったの。その後共通の友人を介してジャスティンに会って、その場で意気投合。今では家族みたいな存在よ。

H:このストアを始めるきっかけにもなったのが、“フェミニズム”だそうで…。

Ha:うん。女性ももちろんだけど、特に有色人種やセクシャルマイノリティが作るジンだけを集めた場って、あまりないじゃない?それが不満で…。そんな場所があったら最高って思ったし、そんな人たちを応援できる場を作りたかったの。もう使命感みたいなものね。

(Photo by 撮影者)

(Photo by 撮影者)

H:なんでまたランドリーを選んだの?

M:だって手頃な値段だったから(笑)

J:物件を探していた時期に、たまたまこのランドリーの前を通りかかって見つけたんだ。ここだ!って感じ。3人とも近くに住んでるし。

Ha:私たちに今のところ大きいスペースは必要ないし、それにお金も全くない(笑)。これから先、ここではない他の場所が必要となってくる可能性もあるけど、今はここで十分。

(Photo by 撮影者)

H:“ランドリーの中に”っていうアイディアは突飛でとても良いと思います。でもアダルトショップをランドリーの中で開くって結構大変だったんじゃない?どうやってオーナーを説得したの?

J:全然大丈夫だったよ(笑)。ランドリーにくるお客さんも最高だしね。

H:そうか、じゃあお客さんからの評判も上々だ。どんな人たちが多い?

Ha:うーん、本当にありとあらゆる人かな。20、30代の近所の若者やアーティストタイプのヒップな人とか、高校生も来るし。

J:モニカのお客さんにはセレブもいるよね。

M:あ、そう。テレビドラマ『Orange Is the New Black(オレンジ・イズ・ザ・ニュー・ブラック)』に出てるLea DeLaria(レア・デラリア)は来たことあった。ご近所さんらしいしね。

(Photo by 撮影者)

H:高校生からセレブまで、ほんとうに幅広いですね。ただ洗濯をしに来たランドリーのお客さんの反応はどんな感じ?

Ha:とりあえずみんな興奮してるわ。予期せぬ空間に。どストレートな男性がたまにひやかしで「ここなに?」って覗きに来たり…。

J:あれはただの“Troll (荒らし)”だね。(笑)

H:ちなみにジンはどうやって選んでいるのですか?

Ha:友達や知り合いのもの、あとはモニカが収集するコレクションからもコンタクトする。ちなみにこれは私の。作り手から「置いてほしい」ってお願いも結構あるんだけど、面白いと思わなければ取り扱うことはないわ。

(Photo by 撮影者)
左がヘイリーのジン

H:なんでもかんでも取り扱うわけじゃないんですね。

M:そう、しっかりふるい分けした上でジンをキューレーションしている感じ。よくあるようなジンやコミックを置く他のお店とは違って、ここはローカルで、有色人種女性とかクィア、フェミニストなものを扱うお店だから。

J:こんなちっちゃなスペースだからこそ、どこにでもあるありきたりなものを置く意味ってないよね。

H:タンポンやナプキンなどの生理用品を無料でもらえるって聞いたんだけど。

J:うん、その通り。だってさ、無料のコンドームはあるのに(ニューヨーク市では保健局が配布する無料コンドームがバーなどに置いてある)、女性の生理用品には税金がかかるんだよ。

(Photo by 撮影者)

H:今話題のtampon tax(タンポン税)なるものですね?

Ha:そうそう。生活必需品であるヘルスケア用品や医薬品、そしてコンドームは課税対象外なのにタンポンには4%の州税がかかっている。とってもおかしな話じゃない?

H:確かにそうですね…。フェミニズムショップならではのサービスですね。ちなみに人気商品はなんでしょうか?ジン?

M:人気のジンね〜。ソマリア出身の女性詩人Warsan Shire(ワーザン・シャイア)の作品は再入荷しても瞬く間に売れちゃう人気商品だったし…。

J:そうそうナイジェリアの女性作家Chimamanda Adichie(チママンダ・アディーチェ)の作品も。

(Photo by 撮影者)
『Shotgun Seamstress(ショットガン・シームストレス)』(写真左)は黒人パンク文化がテーマのジン

(Photo by 撮影者)
イラストレーターJeromy Velasco(ジェロミー・ベラスコ)のイラストブック。ヘタウマなキャラたちがシュール

(Photo by 撮影者)
(中央)ブルックリンのイラストレーターDerek Marks(デレク・マークス)のコミック『Fabulous Topless Woman(ファビュラス・トップレス・ウーマン)』

その他、オリジナル商品やアダルトグッズも。

(Photo by 撮影者)
モニカがデザインを手がけたオリジナルトートバッグ

(Photo by 撮影者)

(Photo by 撮影者)

(Photo by 撮影者)

(Photo by 撮影者)

H:ニューヨークでも前にランドリーカフェが話題になったけど、ランドリー×◯◯っていいビジネスモデルだと思う?

J:うんまあそうだと思うよ。でもこのお店が目指すのはお金を稼ぐビジネスというよりも、コミュニティスペースなんだ。みんなが集まれるような場所。

M : ランドリービジネスって今やアメリカ中にあるじゃない。例えばポートランドのランドリー×バーみたいに。でもランドリー×コミュニティスペースはいまだかつてなかったと思う。

(Photo by 撮影者)

H:もしこのお店が今後ビジネスとして大きくなったとしてもこのランドリーでやりたい?

J:とってもいい質問だね(笑)

M:どう思う?

Ha:その場所によると思うけど、ゆくゆくはお店の奥にスタジオを作れたらなと思う。1時間誰も来ないこととかもあるから、スタジオがあれば自分たちの作業に取り掛かることができるし、もっといろんな商品も置けて、地域の人に向けてのワークショップとかもできる。

J:もし他の場所に引っ越すとしても、ここを「Troll Hole Museum of Feminist(トロールホール・フェミニスト博物館)」として残して、無料のタンポン自動販売機を置きたいね(笑)

(Photo by 撮影者)

地元ランドリーが持つコミュニティースペースとしての性格を生かして作られた、今回の「ランドリー×フェミニズムジン・アダルトショップ」。
たとえばお店を出す前に「まずはランドリーの一角からはじめてみようかな」と、トライアルのような役割も今後、担っていきそうな予感も。ランドリーと意外な組み合わせの変わり種、ランドリービジネスはまだまだ要注目だ。

Troll Hole

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Photos by Risa Akita
Text by HEAPS, Editorial Assistant: Shimpei Nakagawa

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