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HACK IDEA

月額18万。タダででお金がもらえる国

Jul 8,2015

働かないで生きていく。学校を卒業して社会に出た以上、生きていく上で「働かない」という選択肢は存在しない。それがどんな国にいっても共通する世界の“常識”だ。しかし、今そんな“常識”をいとも簡単に壊してしまう“法律”が完成したという。

「働かないで、生きていく」

そんな選択を社会的に認めようとする「法律」が、ヨーロッパのとある国で始まろうとしているそうだ。

(Photo by Sabino Aguad)

(Photo by Sabino Aguad)

月額18万。“タダ”でお金がもらえる国

 収入に関係なく、どんな人でも毎月政府から最高18万円がもらえる街。そんな夢のような制度が来年1月から始まるのは、オランダ第四の都市、ユトレヒトだ。月額約、12万〜18万(€900〜€1,350)。

 現在すでに社会保障費を受給している300人に対して試験的に導入されるこの制度は、家族やカップル当りに月々無条件で「最高約18万円」が支給されるそうだ。このシステムは「ベーシックインカム」と呼ばれる制度で、政府が国民に対して「最低限の生活に必要な資金」を定期的に無条件で支給するシステムだ。

 「無条件」。つまり「ベーシックインカム」では、既に仕事を持ちどんなに高額な給料をもらっている人でも、他に複数の収入源がある人でも、低賃金で働く人でも。皆平等に「タダでお金がもらえる」。そんな制度なのだ。

ベーシックインカムで「働き方」の選択肢が増える。

 「学校を卒業したら、毎日会社で働いて、一人で生きていくために十分な収入を得る」この“ルール”から外れて生きる人は「親のすねかじり」「ニート」などという、社会的に「“負け組”のレッテル」を張られてしまうものだ。しかし、ベーシックインカムが支給されると「生きるために必要なお金」が保証されるため、週に数回「ゆるく働く」ことや、数年間仕事を中断して旅や勉強に時間を費やすといったような「新しい生き方」の選択肢が増えるそうなのだ。

(Photo by Tom Waterhouse)

 無条件でお金が手に入ると、人は働かなくなるのでは?という気もするが、生きるための仕事から解放され、やりたい仕事をやればむしろ人の労働意欲は高まる。また、真面目に働くより、全く働かず生活保護に頼るほうが収入が多くなる逆転現象が発生するため、現在の年金や生活保護の制度は労働意欲の低下をまねくことも懸念されている。

 一方ベーシックインカムは所得制限がないため、働けば働くほど収入が増加。そのため労働意欲は向上すると考えられている。

人口の半分が「パートさん」

 「働き方の新しい選択肢」としてベーシックインカムの支給を開始するユトレヒトだが、オランダ全土でも日本では考えられないような「働き方」が一般化しているという。オランダではなんと人口の50%を超える人たちがパートタイムで働いているという事実がある。(参照元:HUFFPOST LIFESTYLE JAPAN

 パートタイム労働と正社員労働者の間で「時間当りの賃金」や「社会保険制度」などの労働条件に「差」をつけることを禁止する法律があるオランダ。「オランダモデル」と呼ばれるこの法律によって、フルタイム労働者もパートタイム労働者も、働いた時間に比例して平等に 賃金を受け取ることが可能なのだそうだ。つまり、労働者は雇用形態や労働時間を自ら選べるようになり、自分や家族のライフスタイルに沿った働き方が可能になる。この法律によって、オランダの失業率は下落し、マイナス成長から安定成長への転換を成し遂げたそうだ。

世界に広がる、ベーシックインカム。

 ベーシックインカムの試験的導入が決定したオランダ、ユトレヒトに加え、過去にもスイスで国民一人あたり(成人)に1カ月約28万円(2,500スイスフラン)の支給を行うための国民投票が行われた。更には、今から40年以上前にカナダのフランス語圏Dauphinでも5年間実施され、街の貧困問題解決やメンタルヘルスに関する苦情を減らしているそうだ(参照元:QUARTZ)。

NO.1よりも、オンリーワン?世界一は目指さない

(Photo by Exit Festival)

 オランダ、スイス、カナダ。いずれにしても欧米の先進国ではあるが、アメリカ、イギリス、中国、フランスなどの「世界を牽引する常連国」ではない。しかし、世界における「彼らのあり方」こそが、今後全ての国が目指す形なのかもしれない。

 「世界で一番にならなくても良いから、国民全員が幸せになれる国を作る。」グローバル視点で考えて「グローバルで世界一になる」のではなく、グローバル視点で考えて「ローカルで一位になる」。世界から見える自国の“外”の姿よりも、そんな自国の“内”の幸せを重視する国作りこそが、今後先進国が進むべき方向の一つになっていくのかもしれない。

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Text by Yuka Takahashi
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