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IDENTITY

「戦争」を「愛」で塗り直す。イスラム過激派に解放された街で、ある男性が行った“平和な落書き”とは

May 12,2017

2014年からイスラム過激派組織ISISの支配下にあったイラクの北部に位置する都市モースルの東側が、2017年1月に解放された。アメリカ軍の助けを受け、イラク軍がISISと何週間にも渡り多くの犠牲者を出しながら戦闘した結果だ。いまだに人口が集中している西側は奪還できていないという。(参照元:The New York Times

アルカイダとISISを専門とするThe New York Timesの特派員Rukmini Callimachi。彼女は解放された部分のモースルの街で、現地のある男性がISISからの「暴力の言葉」を「愛の言葉」に塗り替えるという心温まる光景を目にし、ツイッターでシェアしてくれた。


1.モースルの解放された地域で人々が最初に行ったのは、ISISのグラフィティを消す事。ものによってはとても芸術的。


2.今日ある男性の存在に気がついた。ペイントされたばっかりの壁に大事そうに文字を書いていたので話を聞いてみた。


3.彼の名前はSadoun Dhanoun。39歳。地元のおじいちゃんやおばあちゃんに雇われて、ISISの憎悪のこもったグラフィティの上に何か描くように頼まれた。色は明るく鮮やかな赤紫。


4.もともとこの壁には非ムスリムやISISと異なる宗派の人々への暴力を煽るような聖典の一文が綴られていた。Shadounはそこに書き直した。


5.素敵なのは、ただ塗りつぶしただけじゃないこと。彼はインターネットカフェで「حكم ومقولات (知性あることわざ)」を調べた。こんな感じで。


6.その中の一つは、「人生では砂糖のようにあれ。あなたがいなくなった後には甘い後味が残るように」


7.彼はこのことわざを選んだ理由として「ISISがすべての人に苦い思いをさせたから」と言った。


8.彼は2万円ちょっとの募金だけでモースルの北の郊外の7つの壁を少なくとも塗り直した。だからもっとできるに違いない。


9.この壁はほとんど終わったと彼は言う。自信満々に、書いたことわざと綺麗に塗り直した壁の前でポーズしてる。次はお花を描くそう。


10.彼の目標はこの街に美しさを取り戻す事。彼の仕事が全部終われば、車を運転している人々の気が散るぐらい綺麗だろうと言った。すでに私は思わず止まちゃったわ。

 ISISがこの街と住民に与えた爪痕は深い。ISISの支配の元、住民は監視され、女性は身体をすべて隠すように命令され、何か少しでも彼らが作った法律に触れれば罰や拷問を受ける恐怖の中暮らしていた。食料や日常品へのアクセスも難しく、人間が人間らしく生きることは難しい状態が3年以上も続いたのだ。(参照元:BBC)そのような暮らしが人々の心にどのように影を落とすのか、想像を絶する。

 しかし、Shadounと住民はそんな傷を怒りではなく、愛で癒そうとしている。計り知れない苦しみを平和で塗り直そうとしているのだ。

 少しでもはやくモースル全体が、そしてISISの支配下にあるすべての人々が解放されることを祈る。

Text by Noemi Minami
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